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+[美術の星の人へ]という展覧会のタイトルについて

+[浮くもの/沈むもの]


+[わけのわからないものをどうやってひきうけるか?]
+[やるつもりのなかったことをやってみる]


+[象のいる星]
+[運が良ければ買えるアーティストブック]


+[玉ねぎオリオン]
+[シマブクのフィッシュ・アンド・チップス]
+最後に



+[象のいる星
3階から外へ出て見る作品があります。ワタリウムの屋上は風が吹いていて、東京が見渡せて、自分が地球という星の上に立っていることが感じられる僕の好きな場所です。そこに展覧会を見に来てくれる人たちにも立ってもらいたいと思いました。僕はあの屋上でいろんなことを考えます。そしてこの同じ星の上にいる、アフリカで見た象のことなんかを思い出すのです。ワタリウムの近くにある古い団地のあの古びたコンクリートの肌あいというのはどこかアフリカの象の肌を思い出させます。僕には東京の古い取り壊される寸前の団地の群れが世界の端に追いやられる象の群れに見えるのです。この[象のいる星]という作品を自分なりにつきつめていくと、遠くの存在について、他人の痛みをどうやって自分のことと感じられるかという想像力についての作品だと思っています。

+[運が良ければ買えるアーティストブック]
今回、アーティストブックを3冊作りました。コピー機を使って。
ひとつは、[トマト七星]という本。ワタリウムの近所の徒歩5分くらいの団地の中に、トラックで野菜を売りにきている八百屋さんがいるんですけど、そこでしか販売しない本。月曜日から土曜日のお昼1時ぐらいから暗くなるまでしか買えない本。
もう一冊は、屋上の作品に関連した[象のいる星]という本でワタリウム界隈の『ビッグイシュー』っていう雑誌の販売者さんに売ってもらっている本。といってもいつも前に置いているわけでなくって、「象のいる星、ありますか」って声をかけることによって出してくれるはずです。そして販売者の人は天気が悪いと休んだりもするので、運がよくないと買えない本です。運が良くないと買えなかったり、見えないものがあってもいいと思うのです。その方が実際に手に入れられたり、見れた時に嬉しいと思うんです。世界っていうのは、本当はそういうものだと思うんです。
どちらの本も『ビッグイシュー』と同じ300円で買えます。300円のうち160円が販売する人の取り分です。これも『ビッグイシュー』と同じです。『ビッグイシュー』のシステムは1990年の始め、ロンドンで始まった頃から興味がありました。ちょうどその頃、ロンドンに住んでいたのです。ホームレスの人たちに仕事を提供してもう一度定職につくための手伝いをするシステム。『ビッグイシュー』はホームレスの人しか販売できないのですが、日本でもこれまで700人以上の販売者登録があり、そのうち1割ぐらいの人がもう一度部屋を借りて再就職することができたそうです。
僕にとって『ビッグイシュー』のシステムというのはアートです。今まで誰も考えなかった、やらなかった方法で、社会に良いだろうと思うことを実現している点において。そしてビッグイシューの販売方法というのはパブリックな路上の空間の中で他人とコミュニケーションをしながらモノを買うという点でユニークです。僕にはこういうことが本当に美しいと思えます。そんなわけでいつかビッグイシューと何かいい形でプロジェクトができたらと思っていたので、今回、夢が叶ってとてもうれしいです。
あともう一冊、日曜日と美術館の夜間開館の水曜日の夜だけ買える[トマトと象]という本があります。