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齋藤陽道 写真展『宝箱』オープニングトーク@ワタリウム美術館  2013.11.2                                 toppage12

text& phto by YukiOkamoto

和多利 じゃあ今度はこの展覧会についてを…。
これまでで1番写真を見せることになると思いますが、
どういう気持ちでみんなに見せたいですか?

…ちょっと補足すると、
ちょうど1年ぐらい前、坂口恭平くんの展覧会をやっているときに、
知り合いのことこさんという方から『感動』を見せてもらって、
坂口くんからも「これはすごい!」と言って、
僕のところに見せに持ってきてくれて…。
それで「ぜひ本人を連れてきてよ」とお願いして、
僕は齋藤さんと会うことができたんです。
齋藤さんはいつもいっぱい写真を持ってきて、
「これは×××」「これは×××です」っていうふうに見せてくれて、
それで僕は少なからずちょっと感動して、
「じゃあすぐやろう」という話になって…。

僕がイメージしていたのは、
齋藤くんの写真に埋もれちゃう、みたいな…。
どこを見渡しても齋藤くんの写真があるような空間が作りたかった。
しかもそれが止まっているのではなく、動いているようにできたのなら、
僕や坂口くんが感じたものを、みんなにも見せられるかなぁと思って、
そんな展覧会をやろうって言ったんだよね。
齋藤くんとしては、
こういうかたちの展覧会になってどう思いましたか?
齋藤/筆談

僕が見たいという世界は…

今、手話通訳さんがいらっしゃって通訳をしていますよね?
身振りを使いながら色々表していますが、
この中には手話がわからない人もいる。
そうすると僕の言いたいことが確実には伝わらない。
筆談も。
書いた紙を映し出していますが、時間がかかります。
普通のことをやるために、色々と準備をしなければならない。
そこには壁があるんですよね。

この壁というか、境界線があるから、
話したいことが色々あるのに、うまくそこに行かないんです。
「どうしようかな、どうしようかな」と。
逆に声を使っている方々を見ても、僕はわかりません。 "わかる" "わからない" の狭間を揺れ動いて、摩擦のようなものが…。
でも、それでもそれでも わかりたいという…
できないことがあっても、それでもわかりたいという気持ちに、
ポコッと穴を開けていくというか…。 写真もそうなんですよね。
写真はあまり言葉を使いませんよね?
それで… とにかく、僕がいつもいつも感じているのは、
その境界線を越えて伝わる "何か" です。
いつもそれを感じています。


和多利 齋藤くんの言いたいことは、4階に文章が書いてありますので、
それを読んでいただいて展覧会を見てもらうのが1番伝わるかと思います。

ではちょっとここで、今日の特別ゲストの朝吹さんを…。
朝吹さんは言葉の人でもありますので、
感想とか聞けたらいいなぁと思います。
朝吹 朝吹真理子です。よろしくお願いします。
齋藤/手話

朝吹さん!こんばんは。
2回目ですね。

朝吹 ありがとう!
初めて齋藤さんの作品 (写真) を見ました。
今、齋藤さんが話していたことの、
私なりの反応を書いてもいいですか?
和多利 お願いします。
朝吹 さっきの伝えられなさ。もどかしさ。
書いたり身振りをしたり…。それが摩擦を出す。
その摩擦やもどかしさは、聞こえる/聞こえないのみならず、
言葉を持っている人が押し並べて持つもどかしさと摩擦熱だと、私は思う。

私自身は人体…人間というのは、
皮膚に閉じ込められた "水" みたいなものだと思っていて…

水=意識
 =無意識
 =生理・摂理

これらすべてのイメージを持っていて、
人と人とが接するとき、
互いにその水が、皮膚から浸食されあう感じ。
  齋藤/筆談 まるきり違うものたちなのに、どうして似ているんだろう、
という不思議がずっとあって…。
そのこととつながりますね。
  朝吹 うん。
言葉も人によって使い方・知り方が様々だから、いつまでもわからない。
使うほどわからない感じがある。
でも個人的には、わかる/わからないはどうでも良くて、
会っているときの、目とか、皮膚とか、しぐさとか…
話している内容そのものより、内容のやりとりをしていること自体が全て。
齋藤/手話 存在してくれていることが嬉しい…。
よくぞこうして巡り会えた、という想い。
(↑なんかの本で読んだ)
僕はそれだけなんですよね。本当に。
朝吹 写真を見ても今の言葉を読んでも、明滅ということを思い出しました。
やりとりの力が瞬間ごとにチカチカ光って、消えて、また光って…
それだけでいつか終わることの惨さやおもしろさを感じるとき、
内容があるようなことをどれだけ言ったとしても、言ってなかったとしても、
やりとりっていうのはチカチカ光るだけの…
…海洋生物でいう、なんだっけ?
  和多利 ?
  朝吹 クラゲだ!
  齋藤/筆談 おいしいね。
  朝吹 人間はほとんどクラゲと同じだと思う。
光って消えて…よるべなく漂って、交流して、死ぬ。
みんな同じだと思う。
そのことを思った。
  齋藤/手話 "怖いくらいひとりぼっち" という認識に本当に戻ることができたなら、
何かもが…やりとり自体がとてもキラキラして…
嬉しいですよね。
それは人間のあり方だし、写真の根底でもあるなと思う。
  和多利 …ちょっとご紹介しておきたいんですが、
齋藤さんが撮影された本で『点滴ポール』というのがあります。
その著者の、仙台に住む岩崎さんとSkypeがつながっていまして…
岩崎さん、こんにちはー。
  岩崎 こんにちはー。
  和多利 齋藤くんの展覧会を企画した和多利と申します。
本を読ませていただきました。
感動しました!
  岩崎 ありがとうございます。
  齋藤/手話 岩崎さんも、言葉の面でやっぱり…
ちゃんと伝わっているかどうか、いつも考えています。
僕らの間に言葉はなくて、まず会ったら目をしっかり見合わせて、
"キラッ" "ピカッ" って眼差しがぶつかったときに撮る…。
そういう感覚です。
眼差しを頼りにして撮影するという経験は、岩崎さんが初めてです
和多利 …というかんじの筆談トークが、
谷川俊太郎さん、よしもとばななさん、荒井裕樹さんと、あと3回あります。

今日は各階の壁に紙を貼っておきました。
齋藤さんへの感想や、聞いてみたいことがあったら、
そこに書いていただければ齋藤さんが答えます。

それと、今日だけ会場内の撮影を解禁しました。
齋藤さんが「写真を見てほしい」ということで、
明日からは会場内の撮影を禁止します。
他の方にご迷惑をかけないように、
その辺のところをご了解いただきながらお願いします。

それからこの展覧会は、
資生堂さん、日本財団さん、堀内カラーさんからご協力をいただいています。
会場を見ていただいたらわかると思いますが、
本当にたくさんの写真があって、かなり予算をオーバーしまして…。苦笑

それから飲み物は館内で飲めますが、食べ物が…
今日はちょっと寒いだろうなと思って、おでんを用意しました。
下に降りていただくと屋台が出ていますので、
皆さんに貼っていただいたシールを見せてから貰ってください。
ただ「おでんください」と言っても、一般の方の分ではないので…。
おでんで暖まってからもう一度展覧会を…
というのを繰り返していただければいいなと思っています。

あ、この展覧会のカタログが出ます。
展覧会と同じタイトルの『宝箱』という本で、
展示に沿ったかたちのものになっています。
ワタリウムでは12月末ぐらいから店頭に並ぶ予定ですが、
来年には他の書店でも売られるようになるかと思います。

じゃあ…齋藤さん。
最後に皆さんに何か一言お願いします。
  齋藤/手話 おでん食べに行こう!

齋藤陽道 写真展『宝箱』オープニングトーク@ワタリウム美術館  2013.11.29 
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text& phto by YukiOkamoto


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