EXHIBITION
展示内容
私にとって、ここは何もない田舎ではない。世界の中心なんだ。
この土地が好きで、ここにいるのが好きなんだ。
― ドナルド・ジャッド
TV番組「ルーレンド・グート」でのハンス・ケラーによるインタビューより、1993年夏
この場所は主にアートの設置のためであり、既存の状況に組み込める私自身の建築のためであり、
仕事のためであり、そして全体として私の生きるための考えのためである。
マーファにあるこの場所の主な目的は、アートの真剣で恒久的な展示である。
― ドナルド・ジャッド
「マーファ, テキサス」1985より
20世紀を代表するアーティストとして知られるドナルド・ジャッド(1928-1994)は、1970年代にニューヨークを離れ、メキシコにほど近いテキサス州の町マーファに移り住んだ。そこで彼は町に残る建物を、生活の場、制作の場として作り変え、さらに自身の作品やダン・フレイヴィン、ジョン・チェンバレン、イリヤ・カバコフなどの作家の作品の恒久的な展示スペースを作るためチナティ財団を設立した。こうしてジャッドが追求し続けた一つ一つの空間は、半世紀の時を経た今も、ジャッドが意図したままの姿でマーファにあり続けている。
本展は1950年代に制作された初期の絵画作品、1960〜90年代の立体作品に加え、ジャッドがマーファに残した空間について、ドローイング、図面、映像、資料を通して紹介する。これらの作品や資料を通して、展示を「その場限りのパフォーマンスにしてはならない」という、アートと展示がもつ完全性に対するジャッドの強い信念を発見いただきたい。
また、ワタリウム美術館の創設者、和多利志津子が1978年にジャッドを日本に招聘し開催した「ジャッド展」(1978年2月22日〜3月22日)のドキュメントのコーナー展示も設けられる。
WORKS
作品
-
無題 1955年 キャンバスに油彩 ジャッド財団蔵
Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS,NY/JASPAR, Tokyo. -
ウェルフェア・アイランド 1956年 キャンバスに油彩 ジャッド財団蔵
Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo. -
無題 1990年 黒のアノダイズド・アルミニウム、ブロンズ色のプレキシグラス(10ユニット)静岡県立美術館蔵
Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo. -
無題 1991 年 陽極処理したアルミニウム、黄色に透明な琥珀色のプレキシグラス ジャッド財団蔵
Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo.
PHOTOGRAPHY
フォトグラフィー
-
ドナルド・ジャッド、マンサナ・デ・チナティの中庭にて、自作《デイヴ・シャックマンに》(1964年)と共に 1975年撮影
Photo Jamie Dearing © Judd Foundation. Jamie Dearing Papers, Judd Foundation Archives, Marfa, Texas.
Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo. -
15点の無題の作品 1980–1984年コンクリート チナティ財団、テキサス州マーファ
Permanent collection, The Chinati Foundation, Marfa, Texas. Photo by Florian Holzherr, courtesy The Chinati Foundation.
Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo. -
マンサナ・デ・チナティ(ブロック)内の恒久インスタレーション ジャッド財団、テキサス州マーファ
Photo Alex Marks © Judd Foundation. Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS,NY/JASPAR, Tokyo. -
ドナルド・ジャッドと和多利志津子、東京にて 1978年
Courtesy Judd Foundation Archives, Marfa, Texas.
PROFILE
プロフィール
-
ドナルド・ジャッド, 1977年撮影
Courtesy Judd Foundation Archives, Marfa, Texas. Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo. -
ドナルド・ジャッド
Donald Judd (1928–1994)
ドナルド・ジャッドは20世紀の最も重要なアーティストの一人である。彼は革新的なアイデアと作品によって、アート、建築、デザインの分野を刺激し、影響を与え続けた。1928年6月3日、ドナルド・クラレンス・ジャッドはミズーリ州のエクセルシオール・スプリングスで生まれた。1946年6月〜1947年11月、アメリカ合衆国陸軍に入隊し韓国に駐留。アメリカに戻った後、コロンビア大学で哲学と美術史を、アート・ステューデント・リーグで絵画を学ぶ。1959〜65年、美術評論家として活動し、時には月に10以上のレビューを執筆していた。1960年代前半までは絵画を主に制作していたが、以降、三次元の作品に展開し、アートの概念に変化を与えていく。その生涯を通して、ジャッドはアートと芸術表現の重要性について訴え続けた。また、土地保全、経験的知識、積極的な市民参加の重要性についても幅広く論じた。
ジャッドは恒久展示(パーマネント・インスタレーション)というアイデアを展開していった。最初の舞台は、1968年に彼が購入した、ニューヨークのスプリング・ストリート101番地にある地上5階建ての鋳鉄造のビルであった。1973年より、マーファで土地を購入しはじめ、1994年に亡くなるまで、この地で自身を含む作家の作品の恒久的な設置を続けた。スタジオ、居住スペースなども含むこれらの空間は、彼の生涯の仕事の多様性を反映している。1977年、ジャッド財団の構想を組み立て、のちに彼の作品、空間、書斎、アーカイブを保存し、作品設置の基準として設立された。1986年、自身および同世代の作家の大規模作品の恒久展示に加え、アーティスト・レジデンスや長期間の展覧会の開催を目的として、チナティ財団を設立した。
約40年にわたり、ジャッドはアメリカ、ヨーロッパ、アジアの各地で展示を行い、世界中の美術館に彼の作品が収蔵されている。主な展示として、ホイットニー美術館(ニューヨーク、1968年、1988年)、カナダ国立美術館(オタワ、1975年)、ヴァンアッベ市立美術館(アイントホーフェン、1970年)、テートモダン(ロンドン、2004年)、ニューヨーク近代美術館(2020年)などがある。
