lectures / workshop
現代アートは、『今をどう生きるか』という問いから始まります。
かつて、現実生活からのがれて、山で一人籠って制作した絵画を鑑賞する時代と、厳しい毎日に追われている現代人が作品に感動する時代とは、明らかに違うものになっています。

ワタリウム美術館は、展覧会に関係した講演会やワークショップだけでなくテーマ別の研究会、講演会、ワークショップを年間で行っていきます。他分野の専門家たちから多くの幅広い知識と考え方を学んでいきながら、新たな現代アートとの接点を探ります。
2006
南方熊楠
南方熊楠 〜熊楠の森を知る〜

プレ講演1回+講演会4回
時間19:00-21:00

世界的な博物学者、南方熊楠(みなかた くまぐす1867-1941)は、「歩くエンサイクロペディア(百科事典)」といわれ、民俗学の先達である柳田国男からは「日本人の可能性の極限」と讃えられた超人です。那智(和歌山県東牟婁郡)の原生林に分け入り、熊楠はその目で何を見たのか。本講演会シリーズでは、熊楠研究の最前線に立つ講師陣に、新しい視覚で御講演頂き、超人・熊楠の生涯と業績を貴重な資料と研究によって浮き彫りにします。
 
■プレ講演 民俗という想像力

2006年4月1日(sat)

日本を代表する柳田国男、南方熊楠、折口信夫の三人の民俗学には決定的な違いがあった。それは三人の想像力のちがいであるとともに、日本の未来と将来をめぐるスコープの多様を暗示していた。

講師=松岡正剛
1944年、京都生まれ。編集工学研究所所長、ISIS編集学校校長。
科学から芸術におよぶ多様なジャンルに取り組み、その研究成果を著作・映像・マルチメディアとして発表している。独自の視点による情報文化論、日本文化論に定評がある。

 
■第1回 南方熊楠 生態調査からマンダラ的世界観へ

2006年5月27日(sat)

南方熊楠(1867-1941)は、アメリカ、英国での学問研鑽の後、帰国して紀伊半島で隠花植物を中心とする生物の調査をおこなった人物です。生態系(エコロジー)という考え方を初めて本格的に日本に導入した熊楠の調査は、紀伊半島の原生林における多様な生命の連関をさぐるものでした。さらに、熊楠はそうした生命の世界を、仏教的な枠組みを用いて、マンダラとして書き記そうと試みています。近代科学のさらに先を見据えた熊楠の思想の持つ意味についてお話ししたいと思います。

講師=松居竜五
1964年生。東京大学大学院比較文学専攻課程修士修了。ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、現在龍谷大学国際文化学部助教授。著書に『南方熊楠、一切智の夢』(朝日選書)、『南方熊楠の森』(共著、方丈堂出版)、『南方熊楠英文論考』(共訳、集英社)など。

 
■第2回 南方熊楠と淡水藻・キノコ・粘菌

2006年6月17日(sat)

熊楠は、幼少時から博物に興味を抱き、北米時代の日記に「吾れ欲くは日本のゲスネルとならん」と記しています。菌学者カルキンスから研究の手ほどきを受けてフロリダやキューバを踏査した後、大英博物館の図書館で古今東西の知識を吸収し、1900年、33才の時に帰国して隠花植物調査を開始しました。熊楠が研究対象にした隠花植物とはどのような生き物かを、特に淡水藻、キノコ、粘菌にしぼり、彼の研究の足跡に沿って紹介します。

講師=萩原博光
1945年、群馬県生まれ。北海道大学農学部卒業、農学博士。
現在、独立行政法人国立科学博物館植物研究部微生物研究室室長。著書に『森の魔術師たち−変形菌の華麗な世界』(共著、朝日新聞)、『南方熊楠の図譜』(共著、青弓社)、『日本変形菌類図鑑』(共著、平凡社)などがある。

 
■第3回 「森」の神話―プレ・エコロジストの系譜と南方熊楠

2006年7月8日(sat)

1911年の神社合祀反対運動を一応の軸として、20世紀のエコロジー思想を先取りしたとされる熊楠の思想を、同じくエコロジー思想の先駆と位置付けられる「森」の思想家たちの系譜の中で検証し、その実相・独自性・今日的意義を考えたい。

講師=田村義也
1993年東京大学修士(比較文学比較文化専攻)、96〜2000年オックスフォード大学留学(美術史学)。現在、成城大学非常勤講師、南方熊楠顕彰会学術部委員。

 
■第4回 熊野古道と南方熊楠

2006年9月16日(sat)

熊野は南方熊楠が後半生を過ごした地である。熊楠が「風景のマンダラ」と呼んだように、景勝の地であり、今も豊かな自然が残る。熊楠が保存につとめた神社の森を訪ね、熊楠を知る人々に会い、素顔の熊楠を探ってきた。 
(中瀬喜陽)

世界遺産指定で注目を集める熊野古道であるが、その主要ルートである中辺路や周辺の文化財が多少なりとも現在に至るまで残されることになったのは、約百年前の南方熊楠の活躍に負うところが大きい。現在の文化財保護や自然保護をめぐる議論にも一石を投じうる熊楠の活動について紹介したい。 
(安田忠典)

講師=中瀬喜陽
1933年和歌山県生まれ。東洋大学文学部卒業。高校教諭を経て、現在、南方熊楠顕彰会副会長、田辺市文化財審議会委員長。著書に『覚書南方熊楠』『南方熊楠独白』、共編に『南方熊楠アルバム』等がある。

講師=安田忠典
1967年大阪府生まれ。関西大学卒。大阪体育大学大学院修了。関西大学文学部助教授。92年より南方熊楠資料調査に参加。現在、南方熊楠顕彰会事業部員。


  熊楠の森を知る 会員募集
 
会費
入会金:3000円
年間参加費:6,000円(講演会4回+プレ講演1回)

特典
・4月1日(土)松岡正剛の講演会に御参加頂けます。
・ワタリウム美術館の展覧会はフリーで御覧頂けます。
・ワタリウム美術館特別ニュースを受取ることができます。
(有効期限:2006年9月迄)

お申込
参加希望の方は、申込書に必要事項を御記入のうえ、郵送またはFAXでお申込下さい。
なお、同時に、会費を下記の口座にお振込下さい。
定員になり次第、〆切らせて頂きます。

■振込先:三井住友銀行 青山支店 (普)1033281 (名)ワタリウム美術館


協賛
方丈堂出版(『南方熊楠の森』2005年発刊)
お問合せ・お申込先
■ ワタリウム美術館
 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6
 Tel.03−3402−3001 Fax.03−3405−7714
 

▲PAGE TOP
ワタリウム美術館
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-6
MAP
tel:03-3402-3001
fax:03-3405-7714
e-mail: official@watarium.co.jp