アイラブアート18 パーフェクト・カモフラージュ展 私はアートになりたい

I LOVE ART 18パーフェクト・カモフラージュ展 私はアートになりたい

⟨アーティスト⟩

第一章 日常にカモフラージュする
アンディ・ウォーホル / マン・レイ / さわひらき(ゲスト)
第二章 自然にカモフラージュする
ロイス・ワインバーガー / ゲイリー・ヒル / 野口里佳(ゲスト)
第三章 記憶にカモフラージュする
クリスチャン・ボルタンスキー / ヨーゼフ・ボイス / 杉戸洋(ゲスト)
第四章 空間にカモフラージュする
ドナルド・ジャッド / マックス・ビル / ナムジュン・パイク / リン・ティエンミャオ / キース・ヘリング

EXHIBITION

展示内容

私はアートになりたい。

アートとは、完璧なカモフラージュのことかもしれない。


「パーフェクト・カモフラージュ展」では、ワタリウム美術館コレクションよりアンディ・ウォーホルを中心に11人と、ゲストアーティストにさわひらき、野口里佳、杉戸洋を交え、「日常にカモフラージュする」「自然にカモフラージュする」「記憶にカモフラージュする」「空間にカモフラージュする」の4つの章に分け、約80点の作品を展示します。

「僕は機械になりたい。機械になりたいから、こんな絵の描き方をするんだ」 アンディ・ウォーホル
1963年11月「ARTnews」誌より。1960年以降、ウォーホルは、シルクスクリーンを多用した作品を制作。同じ版を利用し、意図的にプリントをずらしたり、インクをはみ出させたりすることで、独自のイメージを生んだ。

「植物を超えるものは植物と一体である」 ロイス・ワインバーガー
1997年「ドクメンタⅩ」 にて制作した作品のタイトル。ワインバーガーは、カッセル中央駅の古い線路の除草剤を取り除き、荒地植物を植え付けて庭に変えた。ドイツの土に根付いていく植物を、当時増加していた移民に例えている。

カモフラージュとは、自身の存在を隠し、周囲に溶け込むこと。
置かれた状況が、私たちを生み出し、そしてまたあらたな状況がつくられる。 歴史とはその繰り返し。
カモフラージュとは、生存本能である。雑踏に、自然に、一日中、世界中で、たくさんのコト、モノ、ココロで溢れそうなとき、自分の身を隠そうと、私たちは日常の中にカモフラージュしていく。

何にカモフラージュするかは、あなた次第。


「物になるということ」西田幾多郎
西田幾多郎 「科学というものはね、僕は物に格(いた)らなければいかんのだと思う。…
この人間というものと離れて、物そのものになれればなれるほどいいということだと思う。…離れるということは、自分の主観と離れるんだ。科学と離れるのじゃない。…」
鈴木大拙 「西洋流の行き方でやりゃ、離れるということは別々にしてしまうということだ。 この物の中へ入るっては言わんわな。
物の中へ入るということは東洋風だろう。」
西田幾多郎 「 そういう考え方はないと思うんだね、西洋には。
物になるっていうこと。」
1941年2月28日 西田幾多郎、鈴木大拙、山本良吉 鼎談レコード より 所蔵:石川県西田幾多郎記念哲学館
* 本展にて「西田幾多郎、鈴木大拙、山本良吉 鼎談レコード」(所蔵:石川県西田幾多郎記念哲学館)より「物になるということ」音声をお聞きいただけます。

WORKS

第一章:日常にカモフラージュする

第二章:自然にカモフラージュする

第三章:記憶にカモフラージュする

第四章:空間にカモフラージュする

PROFILE

プロフィール

アンディ・ウォーホル
Andy Warhol
1928-1987 アメリカ

1950年代、商業イラストを描く一方、ポップ・アートの作品制作を試みる。60年代、マリリン・モンローやスープ缶など大衆文化のイコンを題材にした作品で圧倒的支持を得る。70年代以降はその人気とスキャンダルから社会的存在になった。

マン・レイ
Man Ray
1890-1976 アメリカ

1910年代、ダダやシュルレアリスム、前衛芸術運動の中心人物として活躍。またソラリゼーションや、物体を印画紙の上に置き、カメラを使わずに像を写し取るレイヨグラムなどの写真表現を発明し、写真を新たな芸術表現へと確立させた。

さわひらき
Hiraki Sawa
1977- 日本

大量の飛行機が部屋を飛び回るなど、日常空間に本来あるはずのないイメージを登場させ、幻想的な映像作品を制作。近年は映像と音楽を組み合わせたインスタレーションにも制作の幅を広げている。

ロイス・ワインバーガー
Lois Weinberger
1947-2020 オーストリア

1970年代、自然と人工の空間を対象に、制作活動を開始。88年、ウィーンの自庭で育てた荒地植物を各所に植えるというガーデン・プロジェクトを開始。90年代以降、自然とアートに関する議論に影響を与えつづけた。

ゲイリー・ヒル
Gary Hill
1951- アメリカ

「ドクメンタ9」(1992)で脚光を浴び、ナムジュン・パイク以降の重要なビデオ作家として圧倒的に支持されている。その作品は夢のような儚く曖昧な映像をシャープに表現している。

野口里佳
Noguchi Rika
1971- 日本

微視と巨視を行き来するような独自の視点。人間の謎に触れるような対象の選択。
透明な色彩と詩情豊かな写真作品で国内外に知られ、写真の世界だけに留まらず現代美術の国際展にも数多く参加。

クリスチャン・ボルタンスキー
Christian Boltansky
1944-2021 フランス

1970年代後半から写真と電球やライトを使った作品を発表し始める。1984年より、祭壇を思わせる「モニュメント」シリーズを制作。写真の人物はナチによって迫害されたジューイッシュの子どもたち。

ヨーゼフ・ボイス
Joseph Beuys
1921-1986 ドイツ

彫刻や芸術の概念を「教育」や「社会変革」にまで拡張した「社会彫刻」という概念にたどり着き、社会と芸術の正常な関係構築を目指した政治的活動に取り組んだ。「緑の党」の創設者の一人。

杉戸洋
Hiroshi Sugito
1970- 日本

小さな家や、空、舟などのシンプルなモチーフを好んで描き、繊細かつリズミカルに配置された色やかたちが特徴。近年は「絵画」の枠にとどまらず、建築と作品が相互に作用し合う場を作り出し、新たな展示空間を生み出している。

ドナルド・ジャッド
Donald Judd
1928-1994 アメリカ

アーティスト。自らの作品を絵画でも彫刻でもなく、「特殊な物体(Specific Object)」と称し、世界各地でおびただしい数の展覧会に出品すると同時に、美術評論も行った。

マックス・ビル
Max Bill
1908-1994 スイス

建築、絵画、彫刻、デザイン、著述、教育、政治などの多岐の分野で活躍。「バウハウス最後の巨匠」と呼ばれ、その論理的造形は、数理的な概念を発想の基点とした。

ナムジュン・パイク
Nam June Paik
1932-2006 韓国 / アメリカ

1960年代前半、フルクサスに参加。64年よりニューヨークに移り、ヴィデオ映像や電子音楽を用いたメディア・アートを創造。その作品にはテクノロジーと東洋の思想の融合が見られる。

リン・テェエンミャオ(林天苗)
Lin Tian Miao
1962- 中国

1988年にニューヨークに渡り、以後北京とニューヨークを拠点として活動。個展に「聖女テレサの誘惑、巻いた糸を撒く」(北京、1995)など。言葉で伝えることの難しい現代の中国での様々な問題を作品で訴え続けている。

キース・へリング
Keith Haring
1958-1990 アメリカ

1980年代初頭、ニューヨークのイースト・ヴィレッジから現れ、瞬く間に世界がその名を知ることとなったグラフィティ・アートの先駆者。地下鉄や街頭での制作を通じ、アートを画廊や美術館の外に持ち出した。

EVENT

関連イベント

過去の展覧会